12月に入り年末調整の季節となった。
税務署からの年末調整の書類を注意深く見た方
はお気付きかもしれないが、今年になって市町村
が突然に原則特別徴収を押し切ろうとしている。
果たしていかがなものだろうかと考えてみた。
「市町村に提出する給与支払報告書の作成及び
提出についての手引書」の裏表紙の下段に
「住民税の特別徴収の実施について」とあり、
①地方税法の規定によれば事業主はすべての
従業員等の住民税を特別徴収することになって
いること
②事業主や従業員等の意思による徴収方法の
選択はできないこと
③事業主は法令に基づく適正な特別徴収の実施
をお願いする
とし、「給与支払報告書(総括表)」の様式も昨年
とは変更し普通徴収を選択できないようにするなど
今回からかなり強固な姿勢をあらわにした。
大企業のサラリーマンでは、
①社会保険料(健保、厚生年金、雇用保険)
②源泉所得税
③住民税(特別徴収)
が毎月の給料から天引きにされる。
これは当たり前のことだと認める。
また、社員も10名以上と多く、源泉所得税も毎月
納付の事業所や法人の場合は、住民税の特別徴収
というのは、必然でスムーズ行われることだろう。
しかし、
社員数名の中小企業をみた場合はどうだろうか。
社会保険に加入していなかったり、場合によったら
雇用保険にすら加入していなかったりということも
あったりしてかろうじて源泉所得税だけはしっかり
給与から天引きしているというのが現実ではない
だろうか。
特に社員が常時10名未満の場合は、源泉所得税
の納付が原則毎月のところを半年に1回つまり年
2回で済ますことができる。(要届出、HP参照)
そんな中小企業に住民税の特別徴収が果たして
なじむのかどうかは大いに疑問である。
清文社の「地方税 取扱いの手引」で確認した
ところ、
「当該市町村内に給与所得者が少ないことその他
特別の事情により特別徴収を行うことが適当でない
と認められる市町村においては、特別徴収の方法
によらないことができる(地方税法321の3①)」
とある。
源泉所得税のみ半年に1回納付している中小企業
は、これに該当するのではないだろうか。
毎月「徴収」することは何とかできても、「毎月納付」
という大きな事務負担は中小企業にはそぐわない。
さて、どうしたものか・・・。
お客様の立場で考え、対策をじっくり練るとしよう。
個人的には今回の突然の流れにやすやすと迎合
するつもりは到底ない。
国税庁 源泉所得税 納期の特例
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
nn
どうすればよいでしょうか?
普通徴収欄の「乙欄等」に在職者を書いてしまうとか、
Excelで勝手にフォーマットを作ってしまうとか。
河内のFP税理士
とりあえず、「普通徴収希望」のハンコを作成し押印したうえで、中小企業に対しては普通徴収をお願いする旨の手紙を添えて給与支払報告書を郵送しました。あとは、市町村の対応待ちです。